Serende vol.36

  • 2018-6-28

ニューヨーク・バイ・ゲーリー
19世紀後半から世界に先駆けて高層ビルの建設が始まり、多数の超高層ビルが密集している「ニューヨーク」。アートやカルチャーはもちろん、住宅や建築のトレンドもリードするニューヨークで見るべき話題の建築物は多い。短い取材日程では全てを網羅することはできないので、今回はニューヨークのマンハッタンで話題の高級コンドミニアムを中心に紹介してみたい。(コンドミニアムとは日本で言うマンションのこと)まずは、「ニューヨーク・バイ・ゲーリー」。その名の通り建築家フランク・ゲーリー(セレンでで紹介した事もある)による設計。ロサンゼルスでフランク・ゲーリー展を見学した時に紹介されていた物件で、ニューヨークに行く機会があれば見てみたいと思っていた建築物である。ブルックリン側から1ワールド・トレード・センターを眺めた時に、すぐ横に並んでるように見えるビルがそうである。高さ265mの76階建、これは居住用ビルとして世界で12番目の高さ。一番高いコンドミニアムは同じくマンハッタンにある「432パーク・アベニュー」(後ほど紹介)。このビルにはニューヨーク市教育局が所有する公立小学校も入居している。この建築デザインの特徴は『曲線』。ステンレススチール製のパネルを合わせて引き出す曲線美が外観を輝かせ、一度見れば忘れられない印象的なもの。こちらは、分譲ではなく賃貸タイプのみのコンドミニアムとなる。家賃はワンルームタイプで月額約22万円から最高で月額約161万円となっている。


マンハッタンのコンドミニアム事情
世界でトップの売買価格を誇るマンハッタンのコンドミニアム。販売価格が100億円を超える物件もありセントラル・パーク南側の話題の物件で坪単価は3000万円、ロウアーマンハッタンで1500万円程だという。これだけ価格にインパクトがあるマンハッタンでは、普通のものを建ててはダメなのだろう。前述の「ニューヨーク・バイ・ゲーリー」のように建築家のブランド力や強烈な建物の個性が必要のようだ。高級コンドミニアムのデザインの方向性には、「クラッシク」と「モダン」の2パターンがあり、最近人気なのは、クラシックなデザインでアールデコなどのニューヨークの歴史を象徴するような外観に、内装も比較的クラシックな物件が高値を付けているそうだ。クラシックな物件を買う顧客はロシアやアラブ系に多く、ニューヨークの歴史そのものを買おうとしており、モダンで実験的な物件には建築家自体のファンが多いという。さて、ではコンドミニアムを紹介していこう。まずは、「520 WEST 28th」。今、ニューヨークで話題のスポット「ハイライン」に登場したザハ・ハディド氏が設計を担当したコンドミニアム。同氏は、東京の新国立競技場の設計を行い、コンペで選ばれたことで覚えている方も多いだろう。建物には、新国立競技場のデザインと同様に、流れるような曲線が随所に使われており、ザハ氏らしさが溢れた非常に特徴的な外観に仕上がっていた。あのまま、新国立競技場を建設してほしかったというのが物件を見た素直な感想だ。残念ながら同氏は2016年3月に他界されており、また、これがマンハッタンでの最初の作品であり遺作となる。続いては、「56レオナルド・ストリート」。56レオナルドストリート沿いに建つ非常にアイコニックなタワーコンドミニアム。積み木を重ねたような形が特徴的で、地元では「ジェンガ」という名称で親しまれているそうだ。設計は北京の「鳥の巣」スタジアムの設計で名が知られる「ヘルツォーク&ド・ムーロン」。高さ250mの57階建てで、130㎡~595㎡の広さでで145住戸が用意されている。


ジェンガのように飛び出した住空間の演出によりマンハッタンの美しいスカイラインが300度近く広がるというわけだ。この飛び出した部分は、上層階の人にとっては、開放的なバルコニーともなっている。「100 11th アベニュー」。フランスの建築家ジャン・ヌーベルが設計した23階建てコンドミニアム。特筆すべきはファサード。約1,700枚のガラスを使った多くの窓があり、どの部屋からも素晴らしい景観が望めるようになっている。窓枠をモンドリアン風に重ねたような外観は、数種類の色のガラスが嵌められており、それも微妙にずらしながら配置されるため、表情は近代的なビルにありがちな冷たさがない。最後にセントラルパークサウスで話題の2物件「One 57」と「432パーク・アベニュー」を紹介しよう。まずは「One 57」。設計はクリスチャン・ド・ポルザンパルク。高さ306m、73階。低層部にはパーックハイアットホテルが入る。最上階のコンドミニアムの販売価格が約113億円。これがニューヨークのコンドミニアムにつけられた最高値だったことで有名。続いて「432パーク・アベニュー」。西半球で最も高い住居用コンドミニアムであり、マンハッタンで現在一番高い建物となる。 高さは96階の426mでエンパイアステイトビルや1ワールド・トレード・センター(尖塔除く)よりも高い。設計はラファエロ・ヴィニョリ。価格は約19億円から約100億円まで、広さ332㎡から767㎡までの104住戸を提供。3m×3mの窓が規則正しく並び、まっすぐに空へ伸びる外観は、写真で見たときには、面白みを感じられなかった。実際、地元の評論家から「整理用戸棚を積み重ねたように見える」「物理的な高さを追求するより、自らの創造力を追求すべき」と酷評を受けたそうだ。しかし、実際の建物を見るとすごいの一言だ。この存在感と美しさは形容できない。室内の部屋の高さは3.8mもあり、大理石からフロアのウッドに至るまで、全て特注で取り寄せた最高級のマテリアルが用いられているという。3m×3mの大きな窓からのニューヨークの眺めは、どのようなものだろうか?中を見学してみたかった物件だ。

マンハッタン、魅力の建築物
さて、最後にマンハッタンで見ておきたい建築物をご紹介しよう。まずは、「41クーパースクエアー」。伝統ある私立学校の創立150年を記念して2009年に建設。設計はトム・メイン。気ままに破いたような亀裂が入り、ちょっと押しつぶしたように見える外観。1階はガラス張りで、開放的なエントランス。ほぼ全面に、無数の穴が開いているステンレス鋼が張り巡らされている。大学のキャンパスなので、通常部外者は入れないが、定期的に館内見学のツアーも行っているそうだ。次に必ず見に行きたい「シーグラムビル」。1958年にミース・ファン・デル・ローエとフィリップ・ジョンソンの設計によって建設。38階建てで、アメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されている。まさにミースが手がけたマンハッタンの宝物と呼ぶにふさわしい建物。セットバックを避けるために敷地の半分をオープンスペース”プラザ”として開放し、ブロンズのフレームとトパーズグレイのガラスで構成されたシンプルなガラスの塔は、今見ても色あせることなのない美しい外観。中に入ることは出来ないが、ロビーのディテールも目を凝らして見てほしい建物。「IACビルディング」。ハイラインのそば、前出の100 11th アベニューの隣に建つ、IACの本社ビルである。設計はフランク・ゲーリーで、2007年に竣工。フランク・ゲーリーとジャン・ヌーベルが隣り合わせとは、さすがマンハッタンというしかない。全面ガラス張りで、色は白をベースに各階の真ん中部分は青く塗られている。最後にご紹介するのが「ソロービル」。ゴードン・バンシャフトの設計。ゴードン・バンシャフトは20世紀のアメリカ合衆国を代表する建築家の一人。プリツカー賞も受賞している。グラスウォールが緩やかに傾斜し、舗道から立ち上る姿が美しい。
紙面の関係で以上になるが、ニューヨークには、まだ魅力的な建築物が多数あった。「ニューヨーク建築巡りの旅」おすすめです。

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