Serende vol.26

  • 2015-10-21

 

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バルセロナのシンボル、サグラダファミリア
アントニ・ガウディがその生涯を捧げた未完の大聖堂「サグラダファミリア」。その奇抜な外観、精緻な彫刻の数々で生み出される圧倒的な存在感が訪れる者を魅了する。 ガウディが手がけた「誕生の門」とその後つくられた「受難の門」では、風化が違うところも面白い。 年月が経った「誕生の門」では修復作業も行われていた。建築作業と同時に修復作業が行われるとは、世紀をかけて建築されている建物ならではだ。 平日のオープン1時間前にも関わらず長い列で、塔に上がれるチケットはオープン前に売り切れてしまう人気ぶり。 一歩中に入るとその外観からは想像もつかない世界に圧倒されてしまった。 今号の表紙をじっくり見て欲しい。高い天井を支えるいくつもの柱は、上にいくにつれて枝分かれし、まるで森の中に入り込んだような気分になる。天井に開けられた無数の採光口からはやわらかな光が差し込み、まるで木漏れ日のようだ。色々な教会を撮影してきたが、自然光でこれほどあかるい教会は、初めてである。夢中でシャッターを押し続けてしまった。 スペイン内戦によってオリジナルの設計図などは失われ、わずかな資料を元に代々の建築家や彫刻家がその意志を引き継ぎ建築を続けているのは有名な話だが、地下には博物館があり、ガウディが残したスケッチや模型が展示されている。職人たちの作業の様子も一部見学できる。 永遠に完成しないと言われたサグラダファミリアだが、ついにガウディ没後100年にあたる2026年に完成を目指し建築が進められている。完成後また訪れてみたい。

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26_4ガウディの建築を巡る

今やバルセロナの象徴ともいえるガウディ建築だが、その成功の陰には、カタルーニャの大実業家アウゼビ・グエルの存在が大きい。 繊維工業などで成功を収める一方、芸術に対する造詣が深かったグエルは1878年のパリ万博の際、ガウディがデザインした革手袋のショーケースに魅せられたという。その後、小手調べにガウディにいくつかの仕事を依頼。彼の才能を確信したグエルは、最大のパトロンとして生涯にわたってガウディを支え続けることになった。 ガウディの才能を確信したグエルがさっそく依頼したという「グエル館」を訪れてみた。本館につながる新館の増築をまかされたガウディは、この大仕事によほど張り切ったものか、ファサードだけで20種類もの設計案を作成したという。 広々とした吹き抜けの中央ホールでは、優雅な放物線を描くパラボラアーチを配したドーム天井から、星のように光が降り注ぐ。グエルはこのホールで音楽会などを積極的に開き、多くの人に建物を披露したという。贅をこらした応接間の天井や細部に至るまで随所に手の込んだ装飾が施された内装を見れば、ガウディがこの仕事にいかに精力を注いだかわかる。才能を見い出してくれたグエルの期待に応えるのはもちろん、ガウディ自身の野心もあったのかもしれない。そんなガウディ初期の傑作だ。 次に訪れたのはバルセロナ北部の山の手にある「グエル公園」。グエル館から10年後、パートナーシップをゆるぎないものにした二人が、自然と芸術が調和した総合芸術を目指して完成させた分譲住宅地だ。 グエル主導でガウディが設計したこの住宅地は、結局グエルとガウディの2区画しか売れず、やむなく公園として生まれ変わることになったのだとか。実際にテーマパークのような公園内を散策してみると、中央広場を支えるドーリス式の列柱や、各所に施された斬新で個性的な装飾の数々は見応え十分ではあるものの、当時の人々には理解し難かったというのもうなずける。

26_3_1こうして徐々に名声を確立していったガウディの最高傑作とも言われるのが、グラシア通りにある「カサ・バトリョ」。ガウディ得意の曲線的なデザインと色鮮やかな色彩が印象的な建物だ。まずはそのファンタジックな外観に目を奪われる。無数の色ガラスや円形タイルがはめ込まれ、ゆるやかなカーブを描く外壁。美しいグラデーションが印象的な屋根。まるで動物の骨のような不思議な形をしたバルコニー。童話の家のようなそのデザインは、当時の人々にどれほどの衝撃を与えただろう。 中に入ると青を基調としたタイルで覆われた内壁が印象的だ。上の方のタイルは濃紺に近く、下にいくにつれて徐々に白っぽい色のタイルに変わっていくのは、光の届きにくい下の方までより多くの光を取り入れるための工夫なのだとか。オーナーの住まいだったという中央サロンはまさに曲線で造られた部屋だ。窓から差し込む光に浮かび上がるのは壁と一体化した波打つ天井。窓の上部にはめ込まれたステンドグラスがそこに映り込んで幻想的な彩りを添える。 グラシア通りに面する波打つようなフォルムの窓は上げ下ろし式で、開放すればパーティーの様子なども外からよく見えたことだろう。他にもパラボラアーチの美しい屋根裏など、随所にガウディらしさがうかがえる、代表作と呼ぶにふさわしい建物だ。 同じグラシア通りに、もうひとつガウディの代表作とされる建物が立っている。カサ・バトリョに魅了された実業家ペレ・ミラが建設予定だった集合住宅の設計をガウディに依頼したという「カサ・ミラ」だ。 残念なことに、今回工事中のためその外観を見ることができなかったが、その岩の塊のような外観は「ラ・ペドレラ(石切場)」と呼ばれ当時の市民の間では不評だったという。おまけに施主との意見の相違からガウディは途中で手を引き、最終的には助手達が後を継いで完成させたのだった。 そんないわくつきの建物ではあるが、波打つような曲線、採光を考えて造られた大きなパティオ。パラボラアーチの屋根裏など、円熟期を迎えたガウディの創造性がいかんなく発揮された傑作には違いない。 海を思わせるカサ・バトリョと山のイメージのカサ・ミラ。見比べてみるのが面白い。
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26_6_2バルセロニスタの聖地カンプ・ノウ

ワールドカップで惜しくもドイツに敗れたものの、MVPに選ばれたアルゼンチン代表のメッシ。怪我で負傷したものの、輝きをはなったブラジルのネイマール。この実力者2人を擁するFCバルセロナ。 スペインで人気・実力ともにTOPに君臨する名門チームである。FCバルセロナの本拠地「カンプ・ノウスタジアム」は、ヨーロッパ最大級を誇る広さ。試合がない時でも、憧れの選手が普段使用している施設を見学できる。お値段はひとり23ユーロ(約3160円)とお高めだが、見学の価値はある。 まず、フィールドに出ると収容人数99000人という広さに驚かざるをえない。福岡ドームで約38000人、その約2.6倍のキャパシティである。 次に、今まで獲得した数々のトロフィーがずらりと並ぶフロアーを見学。その一角にメッシの個人タイトルのコーナーも設置されており、撮影する人たちが後を絶たなかった。 プレスルームやロッカールームを見学して、スタジアムに出るまでの選手が通る通路も歩くことができる。ヨーロッパらしいのは、スタジアムに出る前に教会が設置されていたことだ。 シーズンオフにだけ客席の一部に設置されるカフェコーナーもあり、気持ち良い風に吹かれながら、ビールを楽しむこともできる。 やはり、すごいのは平日の夕方、さらに23ユーロという入場料にも関わらず行列ができるほどこのスタジアムに人がいるということである。サッカーへの関心度、歴史の深さを感じずにはいられなかった。

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